顕微鏡の試練。
こんにちは。今日は昨日と違って風がなかったので過ごし易く感じました。しかし夜から下り坂のようで、明日はまた電車通勤になりそうです。さて、顕微鏡治療では驚くほど大きく拡大された状態で治療を行うために、裸眼やルーペを使った治療とは見える範囲が全く異なります。視野の向きも患者様の方向ではありません。治療体系自体が根本的に全く異なるので、それまで積んで来た歯科医師としての治療スキルは顕微鏡に慣れるまでの一時期全く使えなくなります。高い治療技術を持った歯科医師ほどこの落差は大きくなると言えるので、どんなに顕微鏡が素晴らしいものであっても導入が難しくなってしまう場合も少なくないと思います。幸か不幸か、私の場合、顕微鏡導入前後は歯科医師としての曲がり角にいました。開業して10年以上が経過し、ほとんどの治療でまずまずの成果を残せるようになっていたものの、色々なセミナーに参加したり、自分なりに工夫や努力をしてもトップレベルには程遠く、自分には才能がないのだろうか、と本気で悩んでいた時期だったのです。そんな状態でしたから、顕微鏡治療の凄さに度肝を抜かれた時、それまで培った技術が顕微鏡に慣れるまで一時期使えなくなる事が分かっても、使えるようになるまで訓練しよう、耐えよう、と迷う事なく決心できたのでした。もしあの時悩んでいなかったらどんなに顕微鏡が素晴らしくてもわざわざ訓練に心血を注ぐ事はなかったと思います。予想よりも自在に扱えるようになるまでの訓練期間は長くかかってしまいましたが、あの時の決心は間違っていなかったと心から思っています。
それではまたお会いしましょう。
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